蒜袋ネギの取材へ行く

12月13日はみやぎ在来作物研究会の取材で、大崎市三本木町蒜袋地区の農家・早坂さんのお宅へお邪魔しました。目的は在来作物の「蒜袋ネギ」。いまでは栽培している農家がほとんどおらず、収穫量も限られているため、幻のネギとも呼ばれています。根っこが太く、白い部分が短く、根本で分かれているという特徴があります。

蒜袋ネギ

詳しい歴史は分かっていませんが、資料によると、江戸時代後半に他の地域からタネが持ち込まれたのが始まりのようです。どのような経緯で早坂さんのお宅でも栽培するようになったのかは不明ですが、先代から大切に受け継ぎ、毎年6〜7月にかけて種取りをしています。

畑も見学させて頂きました。

写真の通り、栽培量はとても少なく、近くの道の駅に出荷はしているそうですが、とても貴重なものだというのがよく分かります。というのも、蒜袋ネギの知名度が少ないからだとか。早坂さんのお宅では学校給食にもネギを出してるそうですが、一般的な規格のネギの方が販売しやすく、そちらの方に比重を置いているようです。

また、栽培方法としては、かつては「やとい」(真っ直ぐに育ったネギを一度抜き、傾斜をつけた土の上に寝かせて土をかぶせることで、太陽に向かって伸びていく過程でネギが曲がって伸びていく)をしてネギを曲げていたそうですが、数年前からはそのまま真っ直ぐ育てているそうです。曲がりネギ系のネギなので、真っ直ぐといってもある程度のしなりは出ていて、甘味もあるとのことです。手間は倍(倍以上?!)かかってしまいますが、やといをして育てた蒜袋ネギは、より柔らかく甘味があるのかもしれないですね。

地域ではどんな食べ方が多いのか伺ったところ、「生」が多いそうです。刻んでお味噌汁に入れたり、お蕎麦や豆腐、納豆と合わせても美味しいとのこと。
お土産に貴重な根付きのネギを頂きました。食べるのが勿体無いくらいですが、大事に味わおうと思います。
取材をさせてくださった早坂さん、本当にありがとうございました。

大黒様のお歳夜

山形県庄内地方では、「大黒様のお歳夜」という風習があります。12月9日、各家々で大黒様をおまつりし、大黒様へ供えるお膳を用意します。献立はその家々で受け継がれてきた内容で若干の違いはありますが、概ね、納豆汁、黒豆ご飯、豆腐の田楽、はりはり漬け、そしてなんと言っても欠かせないのがブリコ(子持ちのハタハタ)の田楽です。これに加えて、まっか大根という、二股に分かれた大根もお供えします。これらには、まめまめしく、健康であるようにということと、子孫繁栄や子宝への願いが込められています。お膳は、大黒様の掛け軸の前に、手前側が掛け軸に向かうように備えられます。



私が昨年暮らした庄内町立谷沢地区でも、各家々で大黒様のお膳をお供えしていました。こちらでは、納豆汁に、芋がらだけではなくドンゴイ(イタドリ)が入っていたのが印象的でした。立谷沢では、春に採ったドンゴイを糠と塩につけておき、冬の間の保存食として食べる風習があります。コリコリとした食感が美味しいドンゴイの塩漬けは、煮物や炒め物にしても最高に美味しいです。

昨年はハタハタが不良で、他の魚で代用したご家庭もあったと聞きます。毎年この日になると、商店街の魚屋さんから、ハタハタを焼く香ばしい香りが漂うのも、大黒様のお歳夜の風物詩となっています。

昨年取材させて頂いた、道子さんのお家の大黒様のお膳の味を、懐かしく思い出す夜でした。